こんにちは、レムシステム株式会社のエンジニア、小村(@system_kom)です。今回は愛知県の設計業の中小企業様(ユーザー数:約20名)で、Windows Server 2012 R2からWindows Server 2022への移行を実施した事例をご紹介します。
ユーザー規模を踏まえ、クライアントアクセスライセンス(CAL)が不要なWindows Server 2022 Essentialsを採用することで、ライセンス面のコストを大幅に圧縮しつつ、セキュリティ・パフォーマンス・運用性を総合的に引き上げました。この記事では、同じくサポート切れ間近(あるいは既に終了)のサーバーをお使いの企業様が、移行の全体像と効果をイメージできるよう、実施内容と得られたメリットを具体的にまとめています。
サポート切れサーバーが抱えるリスク
お客様は、設計データやCADファイルを共有する社内サーバーとしてWindows Server 2012 R2を長年利用されていました。サポート終了によりセキュリティ更新プログラムが提供されないため、新種のマルウェアやランサムウェアに対して無防備な状態となり、業務継続に大きな不安がありました。特に設計データは企業の中核資産であり、暗号化・破壊・窃取は致命的です。
| 主なリスク | 発生した場合の影響 |
|---|---|
| セキュリティ更新が停止 | 未知の脆弱性を突かれ、マルウェア感染・不正侵入・情報漏えいの危険が上昇 |
| ランサムウェア感染 | サーバー内の設計データが暗号化され、業務停止や金銭的損失に発展 |
| ウイルス対策の陳腐化 | 古いOSでは最新定義に非対応のケースがあり、検知・隔離が機能不全 |
| ハードウェアの老朽化 | 障害時の復旧が困難、部品供給終了でダウンタイムが長期化 |
| バックアップの不備 | 障害・感染時に復旧不能、設計スケジュールに重大な遅延 |
| 業務アプリの非対応 | 新しいCAD/ViewerやWindowsクライアントとの互換性低下 |
これらを放置すると、「突然サーバーが停止して設計業務が止まる」といった深刻な事態に直結しかねません。愛知県の製造・設計企業様のように大容量ファイルを高速・安全に扱う必要がある環境では、早期の刷新が得策です。
現状調査と課題分析
レムシステムでは、既存サーバーの利用状況、ネットワーク構成、アクセス権、バックアップ運用、クライアントPCのバージョン分布までを可視化。さらに社外とのデータ授受フローや、夜間バッチ処理・CADキャッシュの動きも含めて分析しました。その結果、サーバー性能不足、UPS未導入、バックアップの手動運用、ウイルス対策の更新停止など、複数の改善ポイントが明確になりました。
ヒアリングで判明した課題
- CADプロジェクトの読み込みが遅く、ピーク時に待ち時間が発生
- バックアップが手動で、世代管理やリストア手順が曖昧
- UPS(無停電電源装置)未設置で、瞬低・停電時の破損リスクが高い
- 古いOSゆえにウイルス対策の最新定義に非対応で、検知力が低下

提案した構成と移行計画(20ユーザー/CAL不要)
ユーザー数が約20名である点と、将来的な拡張・保守性を加味し、Windows Server 2022 Essentialsを採用。EssentialsはCALが不要なため、Standard版+CAL購入時に比べライセンス費用を大幅に圧縮できます。加えて、BitLocker・TPM・Windows Defenderといった標準セキュリティ機能を最大限活用し、マルウェア/ランサムウェア耐性の高い構成を設計しました。
| 構成項目 | 導入内容 | 主目的 | お客様メリット |
|---|---|---|---|
| サーバーハードウェア | DELL PowerEdge(SSD搭載) | 高速I/Oと安定稼働 | CAD図面の読み込み体感向上/ピーク時も安定 |
| OSエディション | Windows Server 2022 Essentials | セキュリティ最新化+CAL不要 | ライセンスコスト圧縮/導入後の運用もシンプル |
| セキュリティ | BitLocker・TPM 2.0・Windows Defender | 暗号化/実行防止/脅威検知 | マルウェア・ランサムウェア対策強化 |
| バックアップ | 自動バックアップ+クラウド連携 | 多層防御・迅速復旧 | 障害・感染時も短時間で業務再開 |
| 電源保護 | APC Smart-UPS | 瞬低・停電対策 | ファイル破損防止/計画停止が可能 |
業務停止を避けるため、移行は夜間に実施。事前に検証環境でアプリ互換性・アクセス権・名前解決・スクリプト・ウイルススキャン・データ整合性まで一通り確認し、切替後の手戻りを抑制しました。
移行後に得られた効果(パフォーマンス/セキュリティ/コスト)

| 改善項目 | 改善内容 | 効果・実感値 | お客様メリット |
|---|---|---|---|
| セキュリティ | Defender常時監視/BitLocker暗号化 | 既知・未知の脅威に対する耐性向上 | マルウェア・ランサムウェア不安の解消 |
| ファイルアクセス | SSD+最新CPU構成 | CAD図面/ライブラリの読み込みが体感で大幅短縮 | 待ち時間減で設計作業に集中 |
| バックアップ運用 | 自動化+クラウド多層保護 | 障害・感染時の復旧時間を大幅短縮 | 納期リスク低減/BCP強化 |
| 運用管理 | リモート監視+定期点検 | 予兆検知と早期対処が可能 | ダウンタイム抑制/保守コスト平準化 |
| ライセンス費用 | EssentialsでCAL不要 | Standard+CAL構成に比べ総額を大幅圧縮 | イニシャルコスト削減→他の投資へ振替 |
お客様からは「業務を止めずに安全に移行でき、アクセスも速くなった」「CAL不要のエディション選定で、費用対効果が非常に高かった」との評価をいただきました。導入後は、問い合わせ対応のリードタイム短縮や、不正メール/USB経由の持ち込みリスクへの懸念も軽減されています。
同様の環境でお悩みの企業様へ(静岡県・東海エリア対応)
愛知県内でも、Windows Server 2012 R2/2016を継続利用している設計・製造系の企業様は少なくありません。近年の攻撃は高度化・自動化が進み、古いサーバーが社内ネットワーク全体の弱点になり得ます。CALコストを抑えたい20~50ユーザー規模の組織であれば、Essentialsの選択は極めて有効です。
メモ
レムシステムでは、現状調査 → 設計 → 導入・移行 → 運用支援までをワンストップ対応。要件に応じてハードウェア構成やバックアップ多層化、アクセス権の再設計、クラウド連携(Teams/OneDrive/Entra ID連携など)も含めて最適化します。「何から始めればいいか分からない」「コストを抑えつつ安全に刷新したい」という方も、まずは現状診断からご相談ください。
御見積・初期診断のご相談は無料です。静岡県を中心に全国対応しております。サーバー移行・更新・セキュリティ強化でお悩みがあれば、下記よりお気軽にお問い合わせください。