こんにちは、レムシステム株式会社 IT担当の小村(@system_kom)です。
最近はWindows Server 構築のご相談が増えており、特にファイルサーバーやActive Directoryの刷新・統合に関するお問い合わせが目立ちます。そこで本記事では内容を最新化し、Windows Server 2025の導入直後に実施すべき初期設定と運用のコツをわかりやすくまとめました。
Windows Server 2019と比べてセキュリティ・ハイブリッド管理(Azure 連携)・ファイル共有の強化が進み、SMB over QUIC や Windows Admin Center による集中管理など、中小企業でもメリットが大きい機能が増えています。自社に最適な構成のご提案や移行計画の設計も承りますので、最後の「まとめとご相談」もご覧ください。
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本記事ではサーバーOSの基礎を押さえつつ、Windows Server 2025 のインストール後におすすめの設定・確認項目を中心に、実務でつまずきやすい点を表形式で整理しました。スクリーンショットがなくても迷わないように、各手順のメニュー名や注意点は文中に明記しています。
Windows Server 2025 構築で最初に知っておきたいこと
Windows Server 2025 は 2019 と比べて基本操作は大きく変わりませんが、SMB over QUIC、Storage Replica、Windows Admin Center、Azure Arcなどの採用で、テレワークや拠点間通信・バックアップ・一元管理が実装しやすくなりました。検証段階から将来拡張を見据え、役割(AD/ファイル/アプリ)・仮想化・バックアップ・ネットワークの方針を先に決めておくと、後戻りの少ない設計になります。まず決める4つの設計ポイントを表にまとめました。
| 設計領域 | 推奨の考え方 |
|---|---|
| 役割分離 | AD DS / ファイル / WSUS / アプリは可用性と運用分担で分離。仮想化前提ならVM単位でロール分割。 |
| ネットワーク | 固定IP・DNS設計・NTP同期を先決。将来のSMB over QUIC導入も見据え、443/TLSポリシー整備。 |
| バックアップ | ベアメタル+システム状態+共有データの3層。レプリカ/オフサイト保管を標準化。 |
| 管理・監査 | Windows Admin Centerで一元化。RDPはNLA/MFA+監査ログ。構成変更は運用手順書に反映。 |
コンピューター名の変更
最初にコンピューター名(ホスト名)を命名規則に合わせて変更します。設定 > システム > バージョン情報 > このPCの名前を変更から実施し再起動。早期に命名を確定しておくと、AD 参加や証明書、監査ログの運用が安定します。
| 推奨ルール | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 役割+拠点+番号 | SVR-FS-TKY-01 | 15文字以内/記号不可(ハイフンは可)/DRで重複しない命名 |
IPアドレス・DNS・NTP の設定
設定 > ネットワークとインターネットで NIC を選び、IPv4 は固定にします。AD 構成ではDNS に自身(またはDC)のIPを指定、時刻同期(NTP)はドメイン環境に合わせて設計します。
| 項目 | 設定例 | ポイント |
|---|---|---|
| IPv4 アドレス | 192.168.10.10/24 | サーバーはDHCPにしない/予約運用でも固定推奨 |
| デフォルトGW | 192.168.10.1 | 複数NIC時は経路の優先度を確認 |
| DNS | 192.168.10.20(DC) | 外部DNSを直接指定しない(正引き/逆引きの整合) |
| NTP | 社内NTP or DC(PDC Emulator) | 時刻ずれはAD障害の原因。上位源を一本化 |
Windows Update(初回~安定化)
導入直後は累積更新が複数回入ります。設定 > Windows Update > 更新プログラムのチェックから最新状態へ。再起動を伴うため、メンテナンス時間を確保しましょう。
| ステップ | 操作 | 結果/注意 |
|---|---|---|
| 1 | 更新プログラムのチェック | 検出後に適用。ドライバー提供有無も確認 |
| 2 | 再起動 | 完了表示まで待機。イベントログにエラーがないか確認 |
| 3 | 再チェック | 安定版に到達するまで2~3サイクル繰り返し |
| 4 | バックアップ | システム状態+ベアメタルを取得 |
管理を効率化:Windows Terminal / PowerShell 7
旧来の「コマンドプロンプト」を常用するより、Windows Terminal+PowerShell 7(最新版)を推奨します。タブ/UTF-8 対応/SSH 接続など、日常運用が大幅に効率化します。
| 項目 | 導入方法 | メリット |
|---|---|---|
| Windows Terminal | Microsoft Store または Winget | タブ運用・JSONでプロファイル管理 |
| PowerShell 7 | Winget もしくは MSI | モダンAPI/クロスプラットフォーム/自動化が容易 |
サーバーマネージャーを起動時に表示しない
ログオンごとの自動起動は運用上ノイズになる場合があります。サーバーマネージャーの「管理 > サーバーマネージャーのプロパティ」で「ログオン時に自動起動しない」を有効化します。Windows Admin Center前提の運用へ移行すると、より快適です。
OpenSSH クライアント/サーバーの導入
2019 時代の Telnet はセキュリティ上の理由から非推奨です。2025 ではOpenSSHの標準サポートを利用し、構成の自動化・リモート運用を安全に行いましょう。
| 機能 | 追加場所 | ポイント |
|---|---|---|
| OpenSSH クライアント | 設定 > アプリ > 省略可能な機能 | 管理端末からのSSH接続に利用 |
| OpenSSH サーバー | 同上(またはWindows機能の有効化) | 鍵認証/ポート制限/監査ログを標準化 |
リモートデスクトップの有効化と保護
RDP は強力ですが攻撃対象にもなりやすい機能です。システムの詳細設定 > リモートから有効化し、NLA 必須、許可グループの限定、外部公開は VPN/ゼロトラスト経由を徹底します。
| 設定 | 推奨値 | 備考 |
|---|---|---|
| NLA | 有効 | 平文認証を禁止 |
| ポート | 既定:3389(変更可) | 外部公開はしない。WAF/VPN 越しで利用 |
| MFA | 導入推奨 | Azure AD / RD Gateway と連携 |
Microsoft Edge の既定化とセキュリティ
Windows Server 2025 は Internet Explorer を前提としません。Microsoft Edge を既定ブラウザにし、SmartScreen・サイトの許可リスト・拡張機能の制限をポリシーで適用します。作業上必要な社内管理ツールのみ許可すると安全です。
拡張子の表示とエクスプローラーの最適化
管理効率を上げるため、エクスプローラーの「表示」でファイル名拡張子と隠しファイルの表示を有効化します。誤操作を避けるため、重要フォルダーはクイックアクセスにピン留めしておくと便利です。
ライセンス認証(アクティベーション)
設定 > システム > ライセンス認証からプロダクトキーを投入し、認証状態を確認します。クローズド環境では電話認証になる場合があるため、導入計画段階でフローを決めておきましょう。
| ケース | 方法 | 注意 |
|---|---|---|
| インターネット接続可 | オンライン認証 | プロキシ経由時は通信要件を許可 |
| 隔離環境 | 電話認証 / KMS | 事前にボリュームライセンスの方式を決定 |
Windows Admin Center と Azure 連携
オンプレ/複数拠点の運用はWindows Admin Center(WAC)で集約すると効率的です。バックアップ、更新、証明書、ファイルサーバー管理などを GUI で横断管理できます。将来的にAzure Arcで資産を一元管理する足がかりにもなります。
| 機能 | WACの利点 | 運用効果 |
|---|---|---|
| 更新/再起動管理 | 複数サーバーへ一括適用 | メンテ時間短縮・障害抑止 |
| 証明書/ロール | GUIで設定・配布が容易 | 設定ミスの削減 |
| ファイルサーバー | 共有/アクセス権の可視化 | 監査対応の強化 |
| Azure 連携 | Arc/Backup/Monitor と接続 | ハイブリッド運用に移行しやすい |
Windows Server 2019 から 2025 への主な進化
2019 世代からのリプレイス検討向けに、違いが効果に直結する点をまとめました。コスト対効果の根拠として社内稟議にも使える要約です。
| 領域 | 2019 | 2025 | 効果 |
|---|---|---|---|
| ファイル共有 | SMB 3.x | SMB over QUIC 対応強化 | VPN不要で安全に拠点/在宅アクセス |
| 管理 | Server Manager中心 | Windows Admin Center 標準運用へ | 一元管理・自動化・リモート保守 |
| セキュリティ | 既定機能中心 | Credential Guard/強化既定 | 資格情報窃取/マルウェア耐性の向上 |
| ハイブリッド | 限定的 | Azure Arc/Backup/Monitor 連携 | 監視・バックアップのクラウド統合 |
まとめとご相談
本記事ではWindows Server 2025の初期設計から基本設定、2019 との違いまでを実務目線で整理しました。命名・ネットワーク・更新・RDP保護・管理の一元化を先に固めておくことで、安定稼働とセキュリティ、運用コスト削減が同時に実現できます。
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